だいたい10分でわかる!台湾は果たして国なのか?問題をざっくり解説

新年早々約7,000文字の自分語り記事を出してしまいました、ろこもこです。

ありゃ長いわと各方面から貴重なご意見を頂戴したので、今回は皆さんのタメになる記事をば書かむと思いまして、早速ですがかなりセンシティブなテーマを取り上げることにしました。(読者さんが増える前に炎上しそうなテーマはさっさと出しとこ……)

台湾に少し詳しい方なら、台湾は国か?というテーマで一大論争が起きているのはご存知のことかと思います。果たして論の争いだけで済めば良いのですが……

先に表明しておくと、ぼくは台湾は国か?という問題に対して特に意見はないです。最終的な解が国であっても国でなくても、ぼくの台湾人の友達はいつまでも友達であることに変わりはないし、近所の美味い牛肉湯のお店は相変わらず営業してくれていることでしょう。

ということで、この記事では台湾は国か?という問題に対する答えを探すのではなく、この問題が生まれた背景を歴史の観点からざっくり紐解きます。ざっくりなので詳しい解説こそありませんが、台湾が今日の台湾に至るまでどういう経緯をたどってきたのか、ということについて少しだけ皆さんの理解に貢献できたら嬉しいです。

言葉の定義と登場する国の紹介

台湾は国か?問題について語るには、まず国の定義を明示しないといけませんね。

この文章では、一定の領土とそこに居住する人々からなり、統治組織をもつ政治的共同体(小学館デジタル大辞泉)から、国を主権、領土、人民を有する共同体として定義します。

また、中国大陸は現在の中華人民共和國の主権が及ぶ地域、台湾は台湾島そのもの、もしくは現在の中華民國の主権が及ぶ地域として定義します。

そして、今回登場する国はこちらの4か国です。

  1. 大清帝國(China, Great Qing, 1636年5月15日から1912年2月12日)
    • 初代国家元首: アイシンギョロ・ヌルハチ(愛新覺羅努爾哈赤, Aisin-Gioro Nurhaci)
    • 末代国家元首: アイシンギョロ・プーイー(愛新覺羅溥儀, Aisin-Gioro Pu-Yi)
  2. 中華民國(Republic of China, 1912年1月1日から現在)
    • 初代国家元首: 孫文または孫中山(Sun Wen or Sun Yat-Sen)
    • 現任国家元首: 蔡英文(Tsai Ing-Wen)
  3. 中華人民共和國(People's Republic of China, 1949年10月1日から現在)
    • 初代国家元首: 毛澤東(Mao Tse-Tung)
    • 現任国家元首: 習近平(Hsi Chin-Ping)
  4. 大日本帝國または日本国(Japan, 前660年2月11日から現在)
    • 初代国家元首: 神武天皇(Emperor Jimmu)
    • 現任国家元首: 天皇陛下(His Majesty The Emperor Naruhito)

1. 1895年4月17日以前、ややこしくなる前の台湾、中国大陸、日本

それでは早速、台湾は国か?問題を歴史からざっくり紐解いてゆきましょう。

まずは1895年4月17日以前、ややこしくなる前の台湾、中国大陸、日本はこんな感じでした。

1895年4月17日以前の東アジアの様子

当時、台湾は大清帝國の領土。バリバリの中華文化で公用語は中国語の一方言である官話。民間では同じく中国語の一方言である台湾語が話されていました※1

一方その頃、中国大陸は大清帝國が統治しており、日本列島は大日本帝國が統治していました。

1894年7月25日には大日本帝國と大清帝國の間で日清戦争が勃発し、この戦争の結果が台湾の命運を大きく変えることとなります。

※1 台湾には漢族以外の民族(原住民)もこの頃から多く居住しており、彼らは部族や部落ごとに独自の原住民語を話していました。現代の台湾にも原住民語は生き残っており、原住民の多く住む山間部などで耳にすることができます。

2. 1895年4月17日以降、台湾が日本の領土となる

1895年4月17日、日清戦争は現・山口県下関市の料亭・春帆樓にて日清講和条約(下関条約)を締結したことにより終戦。

なお、この料亭は現代にも残っており、下関名物の美味しいふぐ料理が楽しめるんだそうです。山口観光の際にはぜひ立ち寄ってみてくださいね!

日清講和条約では、遼東半島、台湾澎湖諸島※2など付属諸島嶼を清が日本に割譲することが合意されました。

これにより、日清講和条約が発効された1895年4月17日より台湾は日本の領土となったのです。

1895年4月17日以降の東アジアの様子

台湾は日本の領土となったため、公用語は清朝の官話から日本の日本語となりました。しかし、民間では引き続き台湾語が話されていました。

ちなみに、みんな大好きビーフン(米粉、bí-hún)は日本語に残る台湾語由来の外来語です。このように、日本による台湾の統治はお互いの言語に少なからず影響を与え、外来語の増加という化学反応を起こしました。

※2 澎湖諸島は現在も中華民國台灣省澎湖縣として、中華民國の領土に含まれています。台湾島から飛行機で1時間の美しい離島です。いつか澎湖旅行記も掲載しますのでお楽しみに!

3. 1912年1月1日、中国大陸では大清帝國が滅び中華民國が生まれる

台湾が日本の領土になってから17年、その頃の中国大陸では1911年10月10日に起こった辛亥革命という運動により、大清帝國の帝政を廃し民主主義国家を建設する機運が高まっていました。

そして1912年1月1日、辛亥革命の先頭に立っていた孫文を国家元首とした新しい国家、中華民國が中国大陸にて建国されました。

その後、1912年2月12日には大清帝國の皇帝であった愛新覺羅溥儀氏が退位し、大清帝國は歴史の1ページと化すことになりました。

1912年1月1日以降の東アジアの様子

この中華民國の国旗、どこかで見たことがありませんか?……そうです、よく「台湾」と言って出てくる国旗がこれです。この謎の解は、もう少し読み進めていただけるとわかります。

中華民國では、大清帝國の官話に代わって國語が公用語となりました。一方、民間では大清帝國の頃から現在に至るまでさまざまな中国語の方言が話されています。

そして、この頃の台湾はバリバリに日本です。和服着て日本家屋に住んでそばとかうどんとか食べてます。たぶん。

4. 1945年10月25日、台湾が中華民國の領土となる

1941年12月8日に始まった大東亜戦争は、1945年8月14日に日本政府がポツダム宣言を受諾し、1945年9月2日に発効したことを以て終わりを迎えました。

終戦の時期については「終戦」の定義によって諸説ありますが、ここでは玉音放送が放送された日である1945年8月15日を終戦の日として扱います。

ポツダム宣言には、日本国の主権は本州、北海道、九州及び四国ならびに我々の決定する諸小島に限られる(ポツダム宣言)とあるため、台湾が日本の領土ではなくなったのは1945年8月14日もしくは同年9月2日という見方ができそうです。

また、中華民國が台湾を管轄する行政機関である台灣省行政長官公署前進指揮所を台湾に設立したのが1945年10月5日、元々大清帝國もしくは中華民國の国籍を所持していた台湾在住の人々に中華民國国籍を付与したのが1945年10月25日です。中華民國では、10月25日を台灣光復節(台湾祖国復帰記念日)として定めています。

なお、1945年8月15日から同10月25日の台湾は名目上は連合国が統治していたものの、実際には無政府状態となっていたようです。

1945年10月25日以降の東アジアの様子

これにより、台湾の公用語は日本語から中華民國の國語となりました。現代の台湾では中国大陸の中国語に対する台湾の中国語の呼称として、台灣華語(台湾華語)という呼び方も用いられています。しかし、民間で話されている言葉はやはり台湾語です。

その台湾語では、日本の領土であった50年間にかなりの日本語由来の外来語が生まれており、オジサン、オバサン、ダイジョウブ、ラジオ、ハンドルなど、数多くの日本語由来の単語が日常会話で使われるようになりました。これらの日本語由来の外来語の多くは現代でも話されており、日本人のぼくとしては耳にするとちょっと嬉しくなります。

ところで、先ほどの「なぜ台湾と言って出てくる国旗が中華民國の国旗なのか」の答えはココです。つまり、一般的にはこの島の地名は台灣(台湾)この島を統治している国家は中華民國となっているんですね※3

あと、この時点ではまだ中華民國の政府は中国大陸にある、ということにご留意いただければと思います。当時の台湾は中華民國の端っこの一部分でしかありませんでした。ここ重要です。

※3 言いたいことある方たくさんいらっしゃると思います。次回の記事で皆さんの見解についても軽く紹介できればと思っているのでもう少々お待ちください!
前述したように、ぼくは「台湾は国か?問題」について特定の立場はないので、あくまでも第三者的視点でこれらの歴史を紹介しているに過ぎません。ご理解いただければ幸いです。

5. 1949年12月7日、中華民國政府が台湾に移転する

1945年頃より、中国大陸では中華民國を廃し、共産主義国家を建設しようとする中國共產黨(中国共産党)の勢力が台頭していました。

1945年から1949年にかけて中華民國の執政政党である中國國民黨(中国国民党)とこの中國共產黨が中国大陸で衝突を繰り返した事件のことを、第二次国共内戦といいます。

中國共產黨の勢力はたちまちに勢いを増し、1949年10月1日には共産主義国家である中華人民共和國の建国を宣言します。

中国大陸における領土を次第に失いつつあった中華民國および中國國民黨は、1949年12月7日に政府を台湾の台北に移転させ、中華民國の主権が及ぶ地域は台湾と付属する諸島のみ、中国大陸は全て中華人民共和國の領土となりました。

1949年12月7日以降の東アジアの様子

中華人民共和國では、中華民國に代わりマルクス・レーニン思想に基づいた共産主義政治を実施しました。公用語は國語から普通話と称されるようになり、1950年代にはこれまでの正體字(正体字、繁体字)から簡体字へと文字の変更も実施されました。

6. 2023年1月2日、きょうの台湾

そして今日、台湾は中華民國、中国大陸は中華人民共和國の主権が及ぶ地域となっています。

2023年1月2日現在の東アジアの様子

台湾と中国大陸を同一の国家が統治したのは、1949年が最後です。あれから74年が経ったいま、両岸の国と人々はそれぞれ独自の進化を遂げました。

新しい言葉を中心に、同じ物事を指す言葉が異なるようにもなりました。たとえばタクシーは中国大陸では「出租車」、台湾では「計程車」と言います。

中国語をパソコンや携帯電話で入力するときも、中国大陸ではローマ字で漢字の読みを綴る拼音(ピンイン)、台湾では注音符號(注音符号)という字で漢字の読みを綴る注音(ジューイン)と呼ばれる入力方式が広く用いられています。

中華民國と中華人民共和國では、公用語の名称、国家元首、政治体制、貨幣単位、国際電話番号、ccTLDなど、客観的に見ても多くの物事が異なります。

このような事柄についても、比較すると面白い点がたくさん見つかるので、いつか両国の比較記事を書く予定です。お楽しみに!

まとめ: 結局のところ、台湾は国なのか?

ここまで書いてきた定義で「台湾は国なのか?」と問われれば、答えはNOです。なぜなら、現時点では台湾というのは台湾島を指す名称であり特定の国家の名称ではないからです。

しかし、ここまで書いてきた定義で「中華民國は国なのか?」と問われれば、答えはYESとなるでしょう。中華民國は主権、領土、人民を台湾に有している国家として見られます。

ところが、日本国政府や中華人民共和國政府の立場に立った場合、「中華民國は国なのか?」という問いに対する答えはNOとなります。なぜなら、両国は中華民國を国家として承認していないからです。

肝心の台湾人の皆さんに聞いてみると、さまざまな答えが返ってきます。「台湾は中華民國が統治しているから中華民國という国である」「台湾は中華民國ではなく台湾という国名で改めて建国すべきである」、この2つの答えが大多数を占めますが、中には「台湾は中華人民共和國の一部である」「台湾を統治している国家は存在しない」、更には「台湾は米国に領有権がある」「台湾は今でも日本国の領土である」なんて意見も見受けられます。

最初にも述べたように、ぼくは「台湾は国なのか?」という問題に対して明確な答えや考え方は持っていませんし、以上の考え方のどれが正解でどれが間違いかを判断するつもりもありません。今回の文章も、できる限り客観的な視点に立って執筆したつもりです。

台湾の未来は台湾人の皆さんのものなので、皆さんで話し合って最適な解が見つかれば良いなと思っています。どのような解になろうと、いつも二日酔いになるまで一緒に飲んでくれる友達やいつもおまけをしてくれる近所の食堂のおじさんおばさん、そして台湾に住む全ての方が幸せに生活できるような台湾であって欲しいと切に願っています。

読者の皆さんは、「台湾は国なのか?」問題についてどうお考えになりますか?良ければコメント欄やSNSにあなたの考え方や感想を残していただければ嬉しいです。

ざっくり解説なので、細かい歴史の経緯や用語、定義についてはカバーしきれていない部分があるかもしれません。乱筆乱文ですが、ここまでご覧いただきありがとうございました!

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編集後記

カフェでノートパソコンのバッテリーが8%になったところで運よくコンセント付きの席が空いて、何とか公開まで漕ぎ着けました。

実は期末レポートが1本ありまして、先にブログでも書いて気晴らし……と思ったら時刻は何ともう18時半でございます。期末レポートはもうChatGPTに任せることにします。

実はあと2日したら日本に一時帰国して、新潟の良い温泉に浸かってくる予定があるんですよね。お風呂の楽しみを取っておくために、最近は少し入浴がザツです。

今日もお腹が空いたので、サブウェイのサンドイッチでも買って帰ります。

2023年1月2日 ドーナッツコーヒー 東寧店にて

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